エミリー・ウングワレー展
御所でまったり過ごした後、私は別行動で美術展へ。直前になって知ったオーストラリアの画家エミリー・ウングワレー展に行ってきました。大阪の国立国際美術館。ここ初めて来ましたよ。東京でも新国立で6月にやるはずです。東京でとも思ったけど、自分が行く予定の日と若干ずれてたので、ちょっと無理してしまった。図らずも三都物語です。
「アボリジニが生んだ天才画家」として国際的評価が高いエミリーですが、私は全然知らなくて、新聞の写真にあった「ビッグ・ヤム・ドリーミング」がすごくて(291×801cm)うわーこの作家さんの展覧会行ってみたいなーと思ったのがきっかけでした。ちょっと草間弥生さんを彷彿とさせる絵だったの(もっとダイナミックですが)。それで記事を読んだらアボリジニで西洋絵画と全然接点がなかったんだけど、80過ぎてから絵筆を持ち始めて亡くなるまでの4年だか5年で3000~4000点の作品を残したというおばあさんというじゃないですか。すごすぎ。ちょっとアボリジニの文化に興味もあったので、作品はもちろん、それが生まれた背景もすごく楽しめました。
まず作品自体は本当に先入観なしで見たら、文句ない現代美術です。色彩とか構成とか。ほとんど線と点で描かれているんですが、その線の力強さったら!迷いがないんですよーだからいやらしさがないの。後で解説を読むと、エミリーにとっては大地との交渉の延長上に制作があるらしい。線は彼らの主食のヤムイモのツタだったり、それを産み出す大地の亀裂だったりするそうです。もともとアボリジニの中でも儀式のための装飾文様を体に描いたりする指導者的立場の女性だったようで、写真もあったんですが、すごい貫禄(いいお顔!)でした。芸術家である前に巫女的役割をもってるような感じです。その彼女が描き続けた世界はひたすら故郷「アルハラクラ」であり、それが彼女の世界のすべてなんですって。作品のすごさはもう見ていただかないと伝わらないかと思います。そして芸術って何だろう・・・と根元的なところまで思考がいっちゃう展覧会でした。
もう一つが文化人類学的面白さ。アボリジニの民俗の固有性と作品が結びついて、へええと思っちゃうことがたくさんありました。彼女の名前表記が統一されてない理由の解説があり、「死後何年かは本当の名前を伏せなければならない」というアボリジニの風習のためだとか。こんな文明がまだちゃんと存在してるんだということにびっくり。アボリジニの文化をもっと勉強したいなあ。あ、「マッドメン」とかお好きな方には本当にオススメします。ニューギニアの文明と関わりが深そう。他の作家さんの紹介もあるんですが、エミリーの突出した才能に驚かされますよ。ラスト・シリーズ(死の直前に描かれたシリーズ)を見て、人間いつでも次のステージに進めるんだと思ってしまいました。何か元気をもらった感じ。
最終日だったし行けてよかった。お客さんも多かったようです。いいなあ。
この美術館の所蔵作品展もやってたので駆け足で巡ったのですが、近・現代作家の作品がずらっと!しかもジャンル問わず集めていて、なかなか面白かったです。なんかもうお腹いっぱい~
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