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2008/08/14

対決・巨匠たちの日本美術

対決
東博に来たのはこれを見るためです。「対決・巨匠たちの日本美術」24人の巨匠達を2人ずつ対比していくことで、その時代の特徴とか作品の質の違いを比較していこうという企画です。企画した人のコンセプトがうまいなあと思ったのと、国宝と重文だらけのこの展覧会、やっぱお得感がありますんで。HPもすごく気合入っていて、なかなか行く前から期待しておりました。
そんなことを考えながら、ちょうど夏祭り期間だし・・・と思っていたら、先に行ったみなさんかが書いたブログで知ったのですが、音声ガイドがこれまたすごいみたいで!「もうひとつの対決!豪華声優陣による音声ガイド」という企画が!お名前だけ見てもそりゃすごいメンバーで、これ今川監督がかんでるんじゃないかと思うくらいでした(笑)個人的に
飯塚昭三さん(雪舟)VS古川登志夫さん(雪村)
若本規夫さん(池大雅)VS清川元夢さん(与謝蕪村)
野沢那智さん(喜多川歌麿)VS羽佐間道夫さん(東洲斎写楽)
はものすごく楽しみ!
あと中村正さんの本阿弥光悦とか小林清志さんの俵屋宗達とか野島昭生さんの木喰とか池田秀一さんの富岡鉄斎とか・・・!普段めったにイヤホーンガイドを借りない私ですが(書とかは別)、借りてしまいましたよー。さすがに行列ができるくらいに人気。きっと夏祭りついでにいらした方もいらっしゃったのかしら。

さて展覧会です。運慶VS快慶から始まって、基本的には時代を追って進んで行きます。直接関わったんじゃないけど・・・という人もいたし、師弟対決も多かったので、ホントに対決なのは狩野永徳と長谷川東伯くらいかなあと思いました。でもその時代、それぞれのコンセプトが分かってよかったですよ。企画した人うまいです。全体的に「うわー」という名品が多いので、ものすごくお得な気分。これだけ並ぶのもうなずけます。まあ会期もせまっているし・・・と思ったら、8月11日~17日で俵屋宗達と尾形光琳の「風塵雷神図屏風」対決があったのでした!行ってから知ったけど、こりゃ人が多いはずだわーと得した気分でした。
作品的に印象に残ったのが、運慶と快慶の仏像対決。これは運慶のダイナミックさと快慶の繊細さが際だっててよかったです。それから円山応挙と長沢芦雪の「虎」戴対決。芦雪のでっかい虎に感動!面白かったのが富岡鉄斎と横山大観の「富士山対決」。私、文人画ってあまりよく分からないんですが、今回出てた鉄斎の富士山図屏風はすごかったなあ。右が遠景から見た富士山・左が頂上付近を描いたものを配置していて、富士山のグロテスクさが出ていたです。富士山をあんなに描けるってすごいなあと。対して大観は右には雲しかないシンプルな富士。これも大観じゃないとできないくらいのあっけらかんとした感じで近代日本画の目指すものがわかりやすく出ていると感じました。
全体的に見終わって、やっぱ私が好きなのは宗達!というのがよく分かりました。風神雷神ももちろんですが、今回出ていた「蔦の細道図屏風」(ちなみに相国寺の美術館がもってるんですよ)というのがすごくて、もんのすごくシンプルでモダンなのに、日本的で飽きが来ない・・・こう書くとデザインっぽいけどやっぱ絵画なんですよねー。左右入れ替えてもつながるっていうのも発想が日本的ですよね。これ欲しい~!と思ってしまったですよ。「風神雷神」もやっぱ大元の宗達の方が好みだなあ。雲の動きがダイナミックで、少々デッサン狂ってても迫力があります。光琳はデザイナーとしてとても宗達を尊敬していたと思いますね。だから「ライバル」っていうより「師弟」な感じでした。この「蔦の細道~」がでっかく載ってたら画録を買うつもりでしたけど、そうでもなかったので、関連本の中から「日本の美をめぐる」シリーズの「宗達と光琳」を買いました。それと公式ガイドブックも。これだと画録ほど重くなかったので。山口晃さんの巨匠イラストもあったし、結構コンパクトにまとまっていてよかったですよ。それと曽我簫白の本物をまとめて初めて見たのですが、すごかったのでこちらも本を購入。伊藤若沖と「変人対決」として初回されていたけど、若沖がすごくスタンダードに見えるほど変でした(笑)もんのすごいパワーに圧倒されます。この人のツッパリぶりっていいですね。
声優対決はズバ抜けて歌麿(野沢那智)VS写楽(羽佐間道夫)が面白かったです。ちゅーか、歌麿の野沢さんがノリノリでした!脚本の人もうまいなあ。
あーおなかいっぱいになった展覧会でした。本当はこの後都美の「フェルメール」に行きたかったんですが、時間がなくなってしまい、こちらは会期も長いので断念いたしました。うん、この余韻に浸りたかったので、それはそれでよかったと思います。もうこんだけ名作を見尽くしたらお腹いっぱいです。

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